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垂直統合

垂直統合とは、製品の研究開発から、製造・販売までのサプライチェーン上の全工程を自社グループ内で行うビジネスモデルです。

なお、自社に製品の製造や販売などを行う工程がない場合は、M&Aによって他社の資源を買収し、統合することもあります。
垂直統合というと自動車産業のような伝統的な製造業が代表事例として知られていますが、2010年代以降はGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)やNetflixのようなデジタル企業も垂直統合によって自社の市場を拡大しています。

動画配信事業で世界におよそ1億7千万人のユーザーを擁するNetflixは、創業当初こそ動画配信サービスに特化していましたが、2013年以降はコンテンツ制作事業にも参入し、今では世界的なヒット作品を多数制作しています。作品調達と配信(流通)のみだった従来のビジネスモデルから、川上統合によって動画制作の工程も押さえた垂直統合モデルへと変革し、良質な作品を独占して、競合他社との差別化に成功しています。

また、Googleは2018年に、自社開発している機械学習のための集積回路チップ「TPU」の社外への提供を開始しました。
このチップは、IoT環境においてデバイスとサーバーを接続するエッジ・コンピューティングに欠かせない部分であり、コネクテッドカーなどの分野での活用が見込まれています。こうした事業拡張は、GoogleのサーバーからITサービス、クラウド、デバイスまでの垂直統合戦略といえます。

垂直統合の成立条件

(1)資本力が必要
研究開発・製造・販売を統合する際に必要な資本が自社内にあることが必要です。

(2)サプライチェーンの各工程に相応の受注規模がある
それぞれの工程が収益規模を保つことで、企業及びグループ全体の収益も向上します。

(3)製品製造の取引工程が多い方がコストメリットは大きい
垂直統合によるコスト削減や取引スピード短縮などのメリットは、自動車部品や工作機械のような「多くの部品を必要とする製品」の製造においてより大きくなります。

垂直統合の落とし穴

近年、技術革新による製造コストの削減や物流の進化により、自社調達よりも外部市場での調達の方がコスト安になるケースも出てきました。その場合、工程の統合がコスト高を招くリスクが生じます。また、グループ規模が大きくなるほど、ガバナンスの統制が困難になります。